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神奈川県 INDEX
ヴォールトを見せ、ダクトを見せ、ついでに電車も見せ…。
DATA
■設計:早川邦彦建築研究室+鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社
■所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目
■用途:駅
■竣工:2004年(平成16年)
■敷地面積:5830m2 建築面積:378m2 延床面積:15108m2
■構造:RC造,一部S造 地上1階地下3階
付近の地図(mapion)
「みなとみらい」の名を頂く駅。この駅の特徴は以下の3点である。

特徴1:ヴォールト天井の機能美を殺さず引き出していること。
特徴2:ダクト等を隠さず着色して見せ、ベンチ等のファニチャ類と印象を揃えていること。
特徴3:ホーム上の吹き抜けをアトリウムに連続させ、グラウンドレベルから地下鉄が直接見えるように仕掛けていること。

特徴1については、コンコース階で実現させている(photo#1,#5)。幅20m、長さ70m、高さ9mの大空間には通路以外の用途が与えられておらず、人を滞留させる役割、あるいはギャラリーとしての役割が与えられるだろう。その実験として、ここのヴォールト天井にプロジェクターで広告やインスタレーションを投影する試みが期間限定で行われている。

特徴2はホーム階、コンコース階で見ることができる。機能美・素材美を隠さずに見せることは「元町・中華街駅」でも書いたように、土木屋さんにぜひ学習してもらいたい手法だ。

そして、この駅で最も重要なのは特徴3だと私は考えている。この駅の場合、当初からクイーンズスクエアの真下に計画されていたために実現したのだと思うが、地上のアトリウムからホーム階までの空隙が確保されているのだ。つまりグラウンドレベルに居ながら地下鉄の気配を感じることができるように仕掛けてある(photo#3, #6, #7)。ただし、どこからでもバッチリ見えるというわけではなく、特定の角度からでないと見ることができないのは残念だ(1)

「新高島駅」で書いたように、私が日本の地下駅に求めたいのは奇抜な造形ではなくて、「天井高を大きく取ること」「できるだけ電車の気配を感じさせるようにすること」の二点である。この事例では残念ながら天井高は高く取れていないが、電車の気配を感じさせる工夫については、まだまだ不十分ではあるものの、高く評価したい。
もちろん完全にホームの上をぶち抜けば天井高も確保される。来街者にとってこの地区の「顔」は駅なのだから、もう少し空間を贅沢に使ってもよいように思う。


みなとみらい線
横浜−新高島みなとみらい馬車道−日本大通り−元町・中華街


[補注]
(1) 建築家は既に決定された空間構成の範囲内という厳しい制約条件内で設計に取り組んでいることに注意されたい。

[参考文献・サイト]
1) 「みなとみらい線の駅」 雑誌『新建築』2004年1月号, pp100-
2) 横浜高速鉄道ウェブサイト http://mm21railway.co.jp/www/

[行き方ガイド]
みなとみらい線は東急東横線と直通運転をしている。

作成 :2004/2/22
最終更新 :2006/1/30
作成者 : makoto/arch-hiroshima
使用カメラ : CanonPowerShot G3, NikonD70
みなとみらい線 みなとみらい駅
Minatomirai Station

#1:ラチ外コンコース(地下2階)。9mの高さを持つヴォールト天井が優美だ。ダクトを青や黄色に塗ってデザイン上のアクセントとして”見せて”いる。ダクトの上には保守用のキャットウォーク、下にはプロジェクターが置かれている。

#2:船?を思わせる造形(ホーム階)

#3:ホームの上が一部吹き抜けになっている。

#4

#5:ホームからコンコースに上がってきたところ

#6:クイーンズスクエアのアトリウムを貫くエスカレーターからは、ホームが少しだが見える。

#7: photo#6の”穴”を別の角度から写したもの。photo#3を上から見ていることになる。

#8:プラットホーム
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