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頭端式ホームはかなり魅力的。 その一方で駅と駅ビルの別離は相変わらずだ。 |
(A)について この駅の最大の強みはやはり頭端式ホームだ。バリアフリーが容易に達成できるのはもちろん、列車の進行方向に垂直に駅舎を置くことになるので「電車を愛でる空間」も用意しやすい。実際、駅の二階には滞留しながら電車を愛でる空間が用意されている(photo#5, #6)。ただし空間としての魅力度は今ひとつ。ヨーロッパのように大スパンの屋根を付けているわけではないので、列車全体を見渡すことは難しい。残念。 (B)について 相変わらず駅と駅ビルとの連携が取れていない。両者の分離はファサード(写真#1)を見ても明らかだ。駅は乗客を効率的に流すことに専念し、駅ビルは床貸しに専念している。しかし人口減少期にあって旅客輸送が増える見込みは無く、駅ビルだから必ず高賃料で埋まるという保証はないだろう。「駅に隣接している=交通至便である」以外の価値を駅ビルに見出し、設計に反映させるべきだ。 (C)について 気になるのは、メタリック系でまとめた外観だ。潮風に今後数十年さらされると無惨なことになるのではと今から心配でならない。建物色彩の彩度を抑えるなど、予算内でやれることはやっているのだろうが…。 鉄道事業者は乗客が駅に着いてから列車に乗るまでの空間体験、列車による移動体験、車窓を流れる風景を眺める体験、駅弁を食する体験まで含む”列車による旅”という経験価値を売っているのだと自覚した方がいい。これはちょうどディズニーランドが、ゲストに”夢”という名の経験価値を売って大成功しているのと同じことだ。 設計者の言葉を引用すると…
ならばもっとやりようがあったのではないかと思う。駅に人を滞留させ”旅”という経験価値全体から利益を稼ぎ出すために、駅そのもののデザインを向上させることに加えて、駅と駅ビルを融合させるアイディアを出す、例えば電車を見ながら食事をさせるレストランといったものを実現させて欲しかった(*2)。 さて、最後にヨーロッパの頭端駅を一つあげておこう。歴史的建築だとハンデがありすぎるので、ここでは近代的なミュンヘン駅の写真を載せてみた(写真#9, #10, #11)。改札の有無など与条件は違うが、それにしても空間のレベルがまるで違う。街の顔たる駅舎(3)はもっと”建築”、それも作家性を抑えた建築であってほしいと思う(*4)。 |
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JR高松駅 JR Takamatsu Station |
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都市再生緊急整備地域として整備中の「サンポート高松」のただ中に建つ駅。ヨーロッパのターミナル駅や阪急梅田駅のような頭端式(図#2)になっているが、これは別にヨーロッパ型の駅を指向したわけではなくて、かつて車両を海上輸送していた頃の名残だ(今建っている高松駅は四代目に当たる(*1))。頭端式だと平面で乗り換え動線が確保できるから、バリアフリー的には最高のスタイルだと思う。しかし鉄道事業者から見た実用性は低く、例えば私鉄のターミナル駅は相互乗り入れによって頭端式ホームを無くしつつある。ただし高松駅の場合は列車の本数が少ないので、頭端式でも大きな問題は生じないようだ。 | |||||||||||||||||||||||
#1:ファサード。右側が駅で左側が駅ビル。相変わらず両者は分離されている。 |
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#2:ホームの形式。高松駅は頭端式のみ4面9線となっている。非効率な頭端式は徐々に姿を消しつつある。 | |||||||||||||||||||||||
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[補注] (*1) 歴代高松駅のプロファイルは以下の通り。■初代:1897年、讃岐鉄道の駅として現在より南西の位置に建設された。■二代目:1910年、宇高航路(岡山県宇野−香川県高松)の開設にあわせて、車両の海上輸送を念頭に置き建設された。■三代目:1959年、近代的駅ビルとしてより水際に近い位置に建設された。■四代目:2001年、宇高連絡船の廃止(1988年)とウォーターフロント開発に伴い駅前広場を確保するため、水際から離れた現位置に建設された。 (*2) 欧州ではありふれたスタイルだが、国内で事例を見たことがない。京都駅や上野駅も飲食店は多いが、電車を愛でることはほとんどできず、駅・駅ビル間の溝は深い。 (*3) ”建築”な駅舎として原広司の京都駅を想起される方は多いだろう。しかし京都駅は「駅に付属するでかい建築(=駅ビル)であって駅では無いと私は思う。 (*4) この辺りの話は「みなとみらい線 元町・中華街駅」を参照されたい。 [参考文献・サイト] 1) INAX広告宣伝部 (2005)「Esplanade」 72号 [行き方ガイド] 本州から行く場合…
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