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東京に残る邸宅建築の傑作は 世界有数のアールデコの館 |
アール・デコとは? アール・デコとは1925年にパリで開かれた「パリ万国装飾美術博覧会(アール・デコ博)」の会場デザインに端を発する様式であり、1920〜30年代に流行期を迎え、その後急速に廃れていく。ものすごく簡単に書くと、19世紀末に流行したアール・ヌーヴォーが植物の造形に由来する「左右非対称の”うねうね”デザイン」であるのに対し、アール・デコは科学技術(結晶構造や電波など)をイメージさせる「左右対称の”かくかく”デザイン」だ。有名なのは1920年代のニューヨークの摩天楼の頭頂部など。日本では氷川丸などの例もあるが、筆頭はこの旧朝香宮邸だ。 朝香宮夫妻とアール・デコ博 朝香宮鳩彦(やすひこ)王は陸軍大学校勤務中の1922年にフランスに留学したが翌年交通事故に遭い、妃殿下(明治天皇第8皇女允子内親王)が渡仏し看病することになった。そして夫妻は1925年のアール・デコ博を見学し、そのデザインにすっかり魅せられてしまう。 帰国後、1929年頃から自宅の計画を練り始めた朝香宮夫妻はアール・デコ博のデザイナーだったラパンを内装担当に指名。こうして「アール・デコそのもの」と言っても差し支えない逸品が誕生することになった。
建築設計は宮内省内匠寮の権藤要吉が担当した。権藤はヨーロッパの邸宅建築を見聞する傍らアール・デコ博も訪れている。ラパンは全室を担当したわけではなく、一部は内装についても内匠寮が、彼らなりのアール・デコでデザインを行っている。(#6階段室、#8ベランダ、#9浴室、#11ウィンターガーデンは内匠寮の設計) 一方、外観については原則モダニズムで隅にアール・デコっぽいパターンが見られる程度で総じて控えめとなっている。 |
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東京都庭園美術館/旧朝香宮邸 Tokyo Metropolitan Teien Art Museum / old Residence of Prince ASAKA |
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アール・デコって何? その答えを知りたければ東京・白金台の旧朝香宮邸に行けばいい。なぜなら旧朝香宮邸は「アールデコそのもの」であるからだ。これほどの逸品が国内に現存しているのは幸運というほかない。 この日は館内が特別に撮影可ということで(普段は撮影禁止)行ってみたら超大混雑。老若男女問わず写真を撮りまくる異様な状況だった。まさかこんなにお屋敷撮影マニアがいるとは…。 |
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![]() #1:旧朝香宮邸ファサード |
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![]() #2:ルネ・ラリック(Rene LALIQUE)によるレリーフ扉。エントランスをくぐるとこれが目の前に現れる(なので外の風景が反射してる)。一見有機的だが、実は左右対称で規則正しくパターンが配置されており、れっきとしたアール・デコだ。素人写真では魅力が十分に伝わらないので、直に見ることをおすすめする。 |
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![]() #11:ウィンターガーデンと呼ばれる三階の小部屋。木材を使わず、漆喰と石と金属でまとめてられており、モダニズムの基本である「白い箱」の表現になっている。 |
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ガイドブックなどを見ると『建物そのものが美術品…』といった表現がされているが、まさにその通りで、室内装飾から建具・サッシに至るまで近代邸宅建築の最高峰といえるだけの高いデザイン性を備えている。普段は美術館であるため非公開部分も多く撮影もできないが、少なくとも東京で建築や美術の勉強をしているなら一度は行くべきスポットと言える。 | |||||||||||||||||
[行き方ガイド]
[見学ガイド] ・開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで) ・休館日:第2・第4水曜日(祝祭日の場合は翌日休館)、年末年始、展覧準備期間 (事前に公式サイトにて確認すること) ・入場料:展示内容により異なる。 [注意] 普段は美術館として使われており、館内撮影は禁じられています。 (ここに載せた写真は特別に撮影できる日に撮ったものです) [参考文献・サイト] 1) 東京都庭園美術館(2004)「旧朝香宮邸のアール・デコ」 (※館内で販売されている冊子) 2) 東京都庭園美術館公式サイト 3) 藤森照信(1997)「建築探偵奇想天外」 朝日新聞社 |
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