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メタボリスト大高が導き出した答えは”二階建ての都市”。 |
このプロジェクトは坂出市中心部のスラムクリアランスである。通常ならRC造のアパートに建て替えて終わり…となるが、大高の提案は、建て替え住宅をそっくり空に持ち上げ、空いたGL平面を将来のニーズ(都市の新陳代謝=メタボリズム)のために空き地にしておくという斬新なものだった。 完成後、下層は商店・駐車場として利用され、十分とは言えないまでも人工土地は機能している。 実際に現地に行ってみて、この大いなる理想を本気で実現させようとしていた熱意を各所から感じることができ、これは再評価されて然るべき事例ではないかと感じた。詳しくは左の写真に付けたコメントを参照して頂きたい。(人によって感じることは全く違うはずなので、あくまで参考程度ということで) さて、こんな野心的なプロジェクトは公共建築だからこそ実現したわけだが、公共ゆえに抱える問題もある。何よりマネジメントが全く機能しておらず、メンテ不足と大量の空室が生じている。 このままでは取り壊されてしまいそうな気がするが、これはどうしても残さなくてはならない文化財であると思う。坂出の市街地もご多分に漏れず元気を失っているように見受けられるから、この巨大なストックを町おこしの中心に据えてみてはどうだろうか。 先ほど文化財だと書いたが、現状のまま手を加えずに保存するべきではなくて、むしろ人工土地の枠内でスクラップ&ビルドをするのが本来の使い方なので良いと思う。具体的に言うと、空室に関してはリノベーションを施すか部分的に建て直したり増築したりして上層にも店舗を入れる。チャレンジショップ的な用途を想定して賃料を低く抑えたり、入居者の改造を許可するのもよいだろう(公共主体の手を離れることが必要かもしれない)。さらにギャラリー、ホテル等を入れてもいい。集会施設としては既存の市民ホール(photo#7)があるし、滞留スペース、路地的空間も既にある。上手く活用していけば福岡の大名地区のように人を引きつける商業エリアに育ってくれるかもしれない。周辺にメガシティがないから集客には限界があるだろうが、何としても蘇らせたい事例である。 [補注] (1) 1960年の世界デザイン会議を契機に結成された建築・都市デザイングループ。川添登、菊竹清訓、黒川紀章、大高正人、槇文彦といった面々が揃っていた。参考文献 1) の他、「中銀カプセルタワービル」の記述が参考になる。 (2) ペデストリアンデッキ。大きな歩道橋施設のこと。大都市の駅前広場でよく見かける。 [参考文献・サイト] 1) 八束はじめ+吉松秀樹(1997)「メタボリズム」INAX出版 pp167-193 [行き方ガイド]
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坂出人工土地 Sakaide Artificial Ground |
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#1:人工土地の下層はテラスハウス型の店舗で上層は集合住宅。店舗群は一つのビルに入居したテナントのはずなのに、既存の商店街にアーケードをかけたような印象を受ける。スケルトン-インフィルのお手本事例だ。上層の住宅棟は横一列に並んでいるのではなく、微妙に前後していることにも注目して欲しい。 |
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香川県 INDEX | |||||||||||||||||||||||||
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