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広島県 INDEX
良くも悪くも、呉は常に海軍と共にある。
DATA
■所在地:広島県呉市昭和町ほか
■建設時期:明治中期〜
■付近の地図(mapion)
旧呉海軍工廠 
(IHIマリンユナイテッド呉工場・日新製鋼呉製鉄所・海上自衛隊)
old Kure Naval Arsenal
呉海軍工廠は日露戦争前夜の1903年(明治36年)に発足し、やがて日本が自前で弩級艦(1)を建造できるようになると、それに応じて国内最大の建造拠点に拡張されていった(2)
大戦末期には呉も大規模な空襲を受けたが、米軍は戦後の接収を考慮して海軍工廠のうち造船所の部分は爆撃目標から除外していたため、大きな被害は受けないまま終戦を迎えている。(3)
戦後、「旧軍港市転換法」などの施策により施設群は民間企業に引き継がれ、大和建造ドックからは巨大タンカーが続々と送り出された。呉は今なお世界有数の建造拠点として稼働しており、特に近年は中国等の旺盛な需要に支えられ、希にみる活況を呈している。

#1:「歴史の見える丘」からの眺望。ここは旧海軍工廠の南門に相当し、慰霊碑等が置かれている。どのドックも旧海軍が建設したもので、この光景は旧海軍工廠時代からあまり変わっていない。右端には海自呉地方総監部(旧鎮守府)の赤レンガ建築、一番右のドックでは海自の護衛艦が入渠中、右から二番目のドックでは大型船を建造中。その左側の屋根が戦艦大和建造ドック跡(4)。単なる遺構ではなく現役で使われているが故の説得力がある。

#2:IHIの施設を横から見る。かなり多くの煉瓦建物が残されているようだ。

 #3:アレイからすこじま前の民間倉庫。これらも旧海軍工廠の遺構だ。

 #4

#5:昔の魚雷クレーン

#6:潜水艦桟橋

#7:アレイからすこじまからは潜水艦桟橋を見渡すことができる。

 #8:呉港からIHIの施設を見る。手前は海自の警備艇。

#9:ちょうど#3と逆方向、海側から造船所を見る。

戦前・戦時中に広島を凌ぐ勢いを誇った呉ではあるが、戦後は緩やかな人口減を続けている。となると、比較的良く残っている近代化遺産を活用した観光業などに力を入れ交流人口を獲得する戦略が必要となるだろう。

ここで課題になるのが、呉の近代化遺産が炭坑でも鉄道でもない軍事施設、しかも現役という点だ。広島は軍都だった痕跡を無かったことにしている節があるが、呉にはまだ海自がいる。そんな中で「大和ミュージアム」を建てたことは大きな判断だと思う。
まぁ大和は戦果を挙げられないまま沈められたわけで、直接外国から恨まれる存在ではないのだが…。

近代化遺産が評価される時流からか、このエリアも徐々に観光地化されつつある。江田島の旧海兵のように個々の建築意匠が優れているわけではないものの、工場全体として古いものがよく残っており、見て回る価値はあると思う。

#10:呉港を出ていく小型フェリー。
(予備知識) 呉市内の主な旧海軍施設

#11:1940年(昭和15年)当時の呉の模型。赤く塗られているのが海軍施設。日本最大の建造能力を誇った呉海軍工廠の規模がよく分かる。現在の名称で書くと、(1)JR呉駅 (2)呉港・大和ミュージアム (3)旧司令長官官舎 (4)教育隊(旧海兵団・練兵場) (5)海上自衛隊呉地方総監部(旧鎮守府) (6)歴史の見える丘 (7)IHIマリンユナイテッド呉工場(旧戦艦大和建造ドック等) (8)アレイからすこじま・潜水艦桟橋
(※呉市海事歴史科学館内の模型を撮影したもの)
[補注]
(1) イギリスが建造した巨大戦艦ドレッドノートは全く新しい戦艦のスタンダードを作り上げてしまい、それまで第一線で運用されていた各国の戦艦は一夜にして旧式艦に成り下がってしまう。こうして史上空前の建艦競争の幕が開いた。弩級とは「ドレッドノート並み」という意味。
(2) 戦艦長門級・大和級とも呉が先行して1番艦を建造し他の工場を指導する役割を担っていた。
(3) 海軍工廠のうち造船所(写真#11の右側)は無傷のまま残されたが、兵器工場(写真#11の左側)についてはことごとく破壊された。
(4) このドックは近年埋め立てられたが、大屋根(大和建造時に目隠しのため設置されたもの)は残されている。

[参考文献・サイト]
1) 呉市WEBサイト
2) くれナビ
3) 「呉市海事歴史科学館」公式サイト

[行き方ガイド]
■歴史の見える丘:JR呉駅バスターミナル(そごう前)から音戸・倉橋島・見晴町方面のバスに乗り、「子規句碑前」にて下車。
■アレイからすこじま:JR呉駅バスターミナル(そごう前)から音戸・倉橋島・見晴町方面のバスに乗り、「潜水隊」にて下車。

[関連ページ]
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作成:2005/5/9 最終更新:2005/5/9
作成者:makoto/arch-hiroshima 使用カメラ:Nikon D70
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