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福島県 INDEX
作家性の強い水族館。
造形的完成度と納まりの良さ、すなわち建築としての完成度は高い。
DATA
■設計:日本設計
■所在地:福島県いわき市小名浜字辰巳町50
■用途:水族館
■竣工:2000年(平成12年)1月
■敷地面積:26,343平米、建築面積:8,815平米、延床面積:13,715平米
■構造:S・SRC・RC造 4階
付近の地図(mapion)
小名浜港の突堤、海に面して建つ水族館。海棲生物だけではなく渓流−河川−水田−河口−干潟−潮目 といった生態系全般について触れるコンセプトの博物館だ。
もっとも最近建てられている他の水族館と比べるとコンセプトに目新しさはないし、ちゅら海のように圧倒的スケールの水槽があるわけでもない。だが、これは私が今まで訪れた水族館の中では最も作家性が強い(=建築っぽい)ケースだと思う。
アクアマリンふくしま
Aquamarine Fukushima

#1:ビオトープ的水面にデッキレベルが近く、海と一体化した印象。こういった、「水族館としては全く必要ないけど気持ちの良い空間」がこの建物にはとても多い。つまり実用性より作家性にシフトしている。
#2:エントランス。緑地の手入れも行き届いている。 #3:エントランスを逆から。 #4:回廊空間。H鋼やガラスを複雑に曲げている。
#5:屋外テラスから建物を見る。ややこしい曲面なのが分かるだろう。   #6:屋外テラス。ブリッジ越しにガラス壁面を見る。
では写真と共に見ていくことにしよう。


zoomマークが付いた写真はクリックすると拡大表示します。
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エントランスから回廊に入るとまず驚かされるのがこの複雑な曲面だ。この形に鋼材やガラスを曲げ、コンクリを打つとなると、相当に高コストな気が…。
#7:福島の川や水田を再現したゾーン。 #8:大水槽。柱が太いのがやや興ざめ。  #9:潮目の三角トンネル
水族館の上層部は外光を取り入れ福島の自然を再現したゾーン(photo#7)。水田の断面など小振りで地味ながら楽しめる展示が続く。

展示の最後にして最大の見せ場は大水槽を貫く三角トンネル(photo#8,#9)…なのだが、ここだけはやや期待はずれ。潮目を表現したいとの意図は理解できるし、構造等の事情があったものと推測するが、三角形にこだわるよりも柱を細くする工夫をすべきだったように感じる。水槽展示の迫力はちゅら海の方が数段上だ。


展示を見た後で展望台に行ってみた(photo#10〜#13)。いかにも今風の軽快な造り。高さは30メートルほどだが、周囲に高い建物がないので360度の眺望が得られる。


全体の感想として、まず建築としての完成度は高いと感じた。
大規模施設を無難かつ迅速に組み上げるのが組織事務所の強みであり、その強みが最大に発揮されたといえる。同時に、こういった大規模施設には珍しくディテールは丁寧に納められており、大ざっぱさは極小化されている。
先ほど書いたように作家性は強いが、アトリエ系にありがちな独りよがりな造形ではなく、最大公約数的なデザイン規範を選んでいるので、多くの人が好ましいと感じる建築になっているのではないだろうか。


断面図。赤い字は写真番号に対応している。
#10:ショップ(手前)とカフェ(奥)  #11:展望台 #12:ガラスでできたエレベータ?

#13:展望台からの眺め。陸地側にも眺望を遮る高層建築はないので遠くまで見渡せる。

#14:全景
[参考文献・サイト]
1) アクアマリンふくしま ウェブサイト

[行き方ガイド]
自動車の場合: 常磐道「いわき湯本」ICまたは「いわき勿来(なこそ)」ICから25分程度。途中誘導板があるので比較的分かりやすい。
鉄道の場合: JR常磐線泉駅からシャトルバス(有料)で15分。詳しくは公式サイトを参照

[利用ガイド]
■開館時間:  9:00〜17:30(3/21〜11/30) 9:00〜17:00(12/1〜3/20) 入館は閉館1時間前まで
■休館日: 毎週火曜日(火曜日が休日の場合は翌日) 
ただし夏休み中など開館する場合があるので要確認。
入館料: 一般/1,600円(団体1,300円) 小〜高校生/800円(団体650円) (団体は20名以上)
作成:2004/12/20 最終更新:2005/1/10
作成者:makoto/arch-hiroshima 使用カメラ:Nikon D70
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