| ホーム | インデックス | 掲示板 | リンク |
|
このサイトについて | 参加のご案内 |
東京都 INDEX
東京に残る「ごいち作品」
DATA
■設計:武田五一
■所在地:東京都文京区本郷6-20-5
■用途:ホール
■竣工:1915年(大正4年)11月
 (2002年修復工事完了)
■規模:建築面積307m2 延床508m2
■構造:煉瓦造(一部RC造)木造小屋組石綿板葺き2階建
付近の地図(mapion)
求道会館は浄土真宗の僧侶でヨーロッパ留学経験もある近角常観(ちかずみじょうかん)が説法の場として建設したものだ。
正面に六角堂(中に本尊が安置されている)を置きその前に演壇、さらに手前には長椅子が配されている空間構成は仏教寺院ともキリスト教聖堂とも違う独特なもので見る者を混乱させるが、要は説法に最適化された近代建築だと割り切ってしまえば整理が付く。

頭上の小屋組も要チェックだ。木造トラスの接合部に鉄板とボルトが使われており、現代の木造建築で使われる構造形式に近い。この建物の施工当時、武田はパナマ太平洋博覧会万博日本館の仕事のため渡米していたが、その際各国パビリオンの構造を見聞し、急遽設計変更の指示を出したという。

ディテールの仕上げも実に丁寧。当時の建築業界は工業化が不十分だったから建具(窓やドア)や家具(椅子など)まで建築家が手がけることが多く、今どきの建物とはデザインの密度がまるで違う。

かなりの部分を武田五一自らデザインしたと思われ、しかもレプリカではないオリジナルが奇跡的に残されている。「ごいちファン」なら見逃せない建物と言えよう。

求道会館 (東京都指定有形文化財)
Kyudo Hall
建築マップではお馴染みの「ごいっちゃん」こと武田五一。東京に現存する武田作品で、おそらく唯一良好な状態で見学できるのがこの求道会館だ。
1
2 3 4 7
5 8
6 9
10
1:正面に六角堂を置きその前に演壇がある。二階は黄色、一階はピンク系の漆喰を塗り後光を表現している。 2:階段のディテール。 3:二階手すり。卍の文字がアールデコっぽい。4:家具はオリジナルのまま。 5:二階席は板張り(かつては畳敷き)。小屋組の構造が美しい。 6:窓枠のディテール。窓の向こうには求道学舎(*2)。 7:小礼拝堂は畳&暖炉の”ありえない”組み合わせ。 8:暖炉の向かいは床の間?的空間 10:外壁は一部タイル(備前焼)貼り。ファサードを形成する四本の柱はRC。
 写真2〜11はクリックすると拡大表示します。
[見学ガイド]
見学できるのは毎月第四土曜日の限られた時間帯のみ。予約は不要。事前に公開時間を公式サイトで確認すること。

[補注]
(*1) 武田五一(たけだごいち・1872〜1938) 広島県福山の生まれ。1897年東京帝大造家学科卒、プロフェッサーアーキテクトとして京都帝大建築学科を率いる。求道会館施工時期に重なる1915年当時にはパナマ太平洋万国博覧会のためアメリカに出張している。
(*2) 近角常観が信仰実践の場として設立した施設で、求道会館に隣接して建つ。現在残る建物は武田五一の設計により1926年に竣工したもので、2006年に集合住宅へのコンバージョンを受けた。

[参考文献・サイト]
1) 求道会館 公式サイト

[行き方ガイド]
電車の場合:地下鉄南北線「東大前」駅から徒歩5分 地下鉄大江戸線「本郷三丁目」駅から徒歩15分
作成:2007/11/25 最終更新:2007/12/17
作成者:makoto/arch-hiroshima 使用カメラ:Nikon D70
文章の引用、写真の使用に関してはこのサイトについてを参照の上、個別にご相談ください
If you wanna use text or photo within this page, please contact me.
東京都 INDEX
© Copyright 1998 FORES MUNDI All Rights Reserved