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解体前の現・歌舞伎座を撮る。
DATA
■設計:岡田信一郎(当初)
 吉田五十八(修復)
■所在地:東京都中央区銀座4-12-15
■用途:劇場
■竣工:1924年 修復:1950年
■構造:RC造
付近の地図(mapion)

■関連ページ:歌舞伎座(H.Tanaka)

[取り壊し・現存しない]
関東大震災以降、時代の要請として耐震性に優れたRC(鉄筋コンクリート)が多く採用されるようになる。このRCで和風建築、しかも大建築をどうデザインするか…、というのは当時の建築界の大テーマだった。その最も優れた解の一つとされるのが、近代建築の名手、岡田信一郎の手による歌舞伎座だ。帝冠様式のような不自然さはなく、上品でバランスの取れた見事なファサードデザインだと思う。

とはいえ、これを岡田信一郎の歌舞伎座と呼ぶのは本人に失礼かもしれない。なぜなら大戦期の戦災により一度焼失したと言っても過言でないほど甚大なダメージを受けているためだ。
先日、観劇の機会を得て初めて中に入ることができたのだが、戦前の建物なら必ずビンビン感じるはずの「名建築オーラ」を全く感じなかった。内部装飾は復興時の応急措置レベルと大差がなく、かつての華やかなディテールは見る影もなく、まさに戦後建てられた「○○市民会館」といった趣だ。この建物は戦前の歴史的建築というよりは、戦後の復興期の建築に分類した方が良いのでは?と思うほどだった。
また、現在の観劇スタイルから考えるとホワイエや通路幅が不足しており、現行法規の不適合箇所もかなりありそうに思える。

歌舞伎座は老朽化を理由に現建物を解体し、現状に似たデザインで再建する予定だ。そしてご多分に漏れず、劇場の上には高層オフィスビルが乗るらしい。私の個人的な感想としては、岡田がデザインした歌舞伎座は既にこの世にないと思うので、(高層オフィスには色々と思うところはあるものの)往事の華やかさを取り戻す意味でも、解体・再建はやむなしかなと思う。
歌舞伎座
Kabuki-za

#1:ファサード。やはり公演期間中の華やいだ雰囲気が最も似合っている。

#2:内部空間

#3:通路空間。桟敷席にアクセスするためドアが多く並んでいる。歌舞伎座ほどの劇場であれば欧州各地のオペラ座のようなゴージャス感が欲しいが、今は「○○市民会館」といった風情である。
[行き方ガイド]
地下鉄日比谷線・浅草線「東銀座」駅から徒歩1分。銀座からも徒歩圏内。
作成:2009/11/22 最終更新:2011/4/2
作成者:makoto/arch-hiroshima 使用カメラ:NikonD90
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