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オランダ INDEX
DATA
■所在地: Leidsestraat, Amsterdam, Netherlands
■用途: 道路
都市プランナー的視点で見たアムステルダム中心部
ライツェ通りのトランジットモール
Transit Mall of Leidse Street, Amsterdam
今回は、「建築マップ」からちょっと離れて純粋な都市ネタ、中活(中心市街地活性化)における有力なメニューの一つである「トランジットモール」を紹介します。事例は欧州を中心に世界中にありますが、ここでは手元に写真があるアムステルダムのライツェ通りを取り上げます。
…とはいえ、そんなに難しいものではありません。要は、上の写真のように中心市街地の道路を歩行者専用道(*1)にして、通行を許すのは歩行者・路面電車・せいぜい自転車までとするわけです。

商業地にとって重要なのは、大まかに言って「周辺人口が多い」「交通利便性が高い」「快適な歩行空間」「休憩場所がある」の四点です。しかし既成市街地は確かに人口は多く利便性は高いものの、道路が狭いため渋滞が頻発しアクセス性が低下する傾向があり、また車が多いと快適な歩行空間が確保できないため街としての魅力が低下してしまいます。そこで、渋滞解消と歩行空間確保を同時に実現させる方策として、このような都心部でのトランジットモールが多用されています。
似たような空間として、日本では商店街を歩行者専用道化してアーケードをかけるケースが多く見られますが、ここまできちんと交通体系の整備を伴うものは見あたりません。郊外から路面電車(バスでも可)で商店街のただ中にアクセスできることこそトランジットモールの神髄と言えます。
話をライツェ通りに戻します。

左の写真にあるように、トランジットモールに直行する道路は自動車の通行を抑制していないようです。(写真手前がトランジットモール)
このように切り下げ処理がしてあるということは、道路管理者はトランジットモールを歩道と同等と取り扱っているものと思われます。
狭隘な道路を抜けていくと広場に出ます。モールは広場にも連続しており、車がシャットアウトされているので、歩行者が自由に滞留でき、広場が本来の姿を取り戻しています。
広場にはオープンカフェが設けられており、商業地として必要な「休憩場所」が確保されています。
手前は路面電車の軌道。
モール内をかなりの頻度で低床車が運行しています。段差が少ないため高齢者などの交通弱者にも使いやすい車両です。

(参考:「arch-hiroshima トラムネットワークの景」)
ライツェ通りは特に狭隘な道路であるため日本で実現させる際にも大いに参考になります。

狭隘道路に複線では線路だらけになるため、線路は基本的に単線で、すれ違い用の待避線が各所に設けられています。これでよく運用できるなあと感心しきりです。
誰でも思いつく素朴な疑問として「歩行者の脇を路面電車が通って危なくないのか」という問題がありますが、警笛を慣らしながら徐行するという、これまた何とも素朴な方法で対応しているようです。徐行による速達性低下というデメリットは我慢するということなのでしょう。
これをこのまま日本でやろうとすると、事故が起きた際の責任をどうするかで、道路管理者・警察・鉄道事業者・商店街間での調整がつかない事態が予想されます。…いや、ほとんど無理でしょう。このあたりは文化の違いとしか言いようがないですね。
ちなみに、アムステルダムはトランジットモール以外でも車線構成を大胆に変更して車線を縮めています。有名な自転車道もこのように十分確保されています。
[行き方ガイド]
アムステルダム中央駅から路面電車1・2・5号線のいずれかに乗車。「Koningsplein」電停から「Leidseplein」電停の間がトランジットモール化されているので、そのどこかで下車。
中央駅から電停5個分くらいの距離なので、歩いて行くことも可能。
作成:2008/11/8 最終更新:2008/11/8 撮影日:2003/8/23
作成者:makoto/arch-hiroshima 使用カメラ:Canon PowerShotG3
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