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現代に残る中世城塞都市を歩く。 |
今井は天文年間(1532〜1555)に建設され、一向宗の寺院(現在の称念寺?)を中心に堀を巡らした城塞都市と化していくが、1575年には敵対する織田信長に降伏し、以後は商業都市に転じた。 江戸時代中期が今井の最盛期とされ、寛永11年(1634年)には「今井札」の発行が許可され「大和の金は今井に七分」と評されるほどの繁栄を誇ったとされている。
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今井 重要伝統的建造物群保存地区 Imai |
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日本を代表する歴史的街区。国内においてこの規模・密度で江戸時代の建築物群が残っているのはもはや奇跡であり、極めて貴重な存在となっている。 | |||||||||||||||||
#1:まちの中央部は先行的に電線地中化がなされている。道幅が狭いので電柱撤去の効果は絶大。 |
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#2:明治初期頃の今井の模型。手前が西口門。(※華甍の館内の模型を撮影したもの) |
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今井については既往研究も多く、系統的に書くのはかなり大変そうなので、ここでは訪問記として書きます。 | |||||||||||||||||
近鉄難波から40分で八木西口駅、そこから5分歩くと今井に入ることができます。まずは華甍(写真#3)でガイドマップと基礎知識を仕入れて、いざ町へ。 ■濠の面影、水の気配 今井はぐるりと濠に囲まれているので、「町に入る」こと自体にイベント性があります。濠といっても基本的に排水路として残っていて(写真#14, #15)、部分的に復元されています。(写真#13) ちなみに水路は更に町中に張り巡らされていて、水路と道路の交差部は板で目隠しされているものの、その気配を感じることはできます。(写真#12) ただ、時間をかけて徐々に住宅地化されていったためか、ずば抜けて優れた建築といったものはないようです。 ■観光地化されていない珍しいケース 戦国時代は寺内町、江戸時代は商都として栄えた今井ですが、今はすっかり住宅地となっています。時期を限定して自宅を一般開放するというケースが多いようです。伝建なら必ずある土産物屋、ギャラリー、飲食店の類、すなわち地元と直接関係なさそうな施設は、町の規模に比べてごく少数しかありません。 観光地化されていない理由は、観光に頼らなくても都市活動を維持できるのと、奈良から微妙に距離があり観光コースに組み込みにくい…といったことでしょう。 ■何故残ったのか? 今井の面白いところは、「昔の町が丸ごと一個残っている」ことにあります。華甍でその辺りを聞いてみると、
しかしながら、住民の高齢化とコミュニティ継承の問題、空き家の増加、建築物の維持管理費の負担、自動車や観光客とのつきあい方、災害への対応 … といった、活用と保存を両立させる際に避けて通れない諸問題が解決したわけではなく、今井も他の町と同様の悩みを抱えているようです。 ■歴史的景観を現代にどう調和させるか 今井を歩いていると随所に調和させるための工夫の跡を見ることができます。同時に、その難しさも再認識させられます。 ○伝建によるファサードコントロール 重伝建地区では建築活動全般に制限が加えられています。新築する場合、少なくともファサードについては厳しいコントロールがかけられます。(写真#10) ○停止線をタイルで表現 (写真#17) ○防災公園 伝建になるということは、地区の不燃化が今後とも達成されず、4m道路も整備されないことになります。そこで町内の数カ所に防火水槽や井戸を備えたポケットパークが整備されています。(写真#18, 19, 20, 21) ○自動車への対応 洋の東西を問わず歴史的街区で問題になるのは駐車場計画です。今井の場合、町中の数カ所に共同ガレージが置かれており、根本的な解決でないとはいえ、できる限りのことはやっているようです。 (写真#23, 24) |
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[補注] (1) 寺内町とは、一向宗などの寺院を中心として形成された城塞都市のこと。15世紀中頃から形成され自治を獲得し繁栄した。参考文献 2) によると、寺内町は3つのタイプに分類される。(A) 寺院主導で形成されるケース (B) 領主の門徒化により形成されるケース (C) 門徒が買取または占拠し形成されるケース。今井は(B)に該当する。 [参考文献・サイト] 1) 雑誌「造景」26号 pp63 2) 雑誌「造景」8号 pp108 [行き方ガイド]
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