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間違いなく県内に残る最高クラスの近代化遺産。 現役のものづくりの現場であることの説得力は圧倒的。 |
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ヤマモトロックマシン(東城工場) Yamamoto Rock Machine Corp. |
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中国山地のただ中、東城町に建つ削岩機メーカーの工場および旧社宅。特別に内部見学できたのでレポートしたい。 | |||||||||||||||||||||||
#1:デザインが統一された木造建屋が並ぶ。たたずまいは昭和初期からあまり変わっていないようだ。 |
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#2:建屋内部。現役の生産施設ならではの美しさがある。もし工作機械がなければ全く違った印象の空間になるはずだ。
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工場建屋 施設群の中心をなすのが工場建屋だ。その中心である第一機械工場を内観した。建設当時は照明が貧弱であったため工場はハイサイドライトやトップライトを設けるのが普通で、本作も高所に明かりとりの窓を付けている。そのフォルムをそのまま活かしつつ、縦長の窓が7つ並ぶファサードからは、オーナーの「ハイカラな工場を作ってやるぞ」という明確な意図を感じる。しかもこの窓、木サッシ(オリジナル?)で上げ下げ式だ。上げ下げ窓は、本来日本にはない西欧由来のものであり、西欧の建築をそのまま建てていた明治期の洋館では一般的だが、昭和の建物では珍しい。 建屋の内部に入ると、頭上の見事な木トラスに目を奪われる。トップライトがガラスから樹脂に変わるなどしているが、ほぼ昭和初期のままだという。そして、最も感銘を受けたのは、この建物が現在も生産に使用されているという点だ。やはり工場はものづくりをしている姿が最も美しいはずで、その美しさを鑑賞するすばらしい空間体験だった。 |
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#7:右奥の緑色の屋根の建物が家族用の社宅。
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工員住宅 工場から道路を挟んだ対岸には工員住宅の区画がある。現在はほぼ使用されておらず空き家となっているが、これらも規模が大きく質も高い。主に単身者用と家族用の2棟があるが、今回は家族用の建物を見学した。 内部は片廊下式で、学校校舎のような平面計画となっている。共用廊下と居室を隔てるのは障子であったようだ(写真#10)。また、家族用といいつつも各居室は一つの大部屋があるのみ。現代的な感覚だとプライバシーがないように思えるが、昭和初期の”集住”の一つの形態がかいま見えて大変興味深い(写真11)。木造3階建ての最上階は集会室となっており、共用廊下は設けられていない(写真#13)。階段室や集会室の天井は白く塗られていて、漆喰かと思ったが、鉄工所らしく鉄板を加工して天井板を成形しているらしい(写真#15)。 |
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全体の感想として、これほど質が高い現役の近代化遺産は、広島県内どころか全国的にも希だろう。工場は可能な限り生産施設として使い続け、使用されていない工員住宅部分は、例えばものづくり作家の創作拠点や「道の駅」のような交流拠点としての再生を図っていければ、建物だけでなく東城にとっても大きなアドバンテージになるように思えた。 | |||||||||||||||||||||||
[参考文献・サイト] 1) ヤマモトロックマシン会社案内 2) 中国新聞「中国地方近代化遺産を歩く」(1999年5月29日付紙面) [行き方ガイド]
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