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広島県 INDEX
瀬戸内海沿岸での大屋根の表現
DATA
■設計:隈研吾建築都市設計事務所
■所在地:広島県呉市音戸町南隠渡1-7
■用途:市役所支所、図書館、公民館、多目的ホール
■竣工:2008年(平成20年)
■規模:敷地面積4424.39m2、建築面積2581.08m2、延床面積4642.91m2
■構造:S造3階
■付近の地図(mapion)
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瀬戸内海でも特に狭い海峡として知られる音戸の瀬戸(おんどのせと)にも近い、穏やかな海面に面して建つ公共施設。行政窓口・図書館・公民館・多目的ホールの各機能が大屋根の下にまとめられている。

ホール機能を含むため建築のスケールはどうしても大きくなるが、その一方で周辺には昔ながらの集落が広がっており(こちらを参照)、これらとの調和をどう図るかが大きな課題となる。最近の隈研吾は地場の建材や自然素材による表現を指向している(例えばこれ)が、このケースでも本瓦を使うことで調和を図っていこうという意図があったようだ。

われわれの提案のテーマは屋根、瓦によって構成される瀬戸内海の景観の構造を抽象化し、建築にすることでした。屋根のディテールに景観の構造を持ってくるわけですが、そこには私たちなりの抽象化、粒子化するという操作がありました。周辺景観のコピーではなく、周辺となじみながらも何かふわっと浮かんでくる屋根を目指しました。
−(中略)−
全体としては大きなマッスになるけれども、構成している粒子が周囲と同じであることで、マッスが持つ威圧感を和らげることができます。その粒にこだわりたかったので、私たちはコンペの時から本瓦を使用すると宣言していました。
(雑誌「新建築」2008年3月号pp100より引用)

しかしスケールの差はいかんともしがたく、ある程度距離を取ると(本瓦かどうかなど分からないので)ノッペリとした大屋根はやはりオーバースケールな印象を与えてしまう。本瓦効果は今ひとつだなと思った。(写真#2, #3)
ではスケールが調和してないからダメかというと、そうでもない。遠望すると大屋根はまるで工場のように見え、周辺の沿岸には造船所や工場が点在している(写真#4)ので、違和感はさほどでもない。狙ったかどうかはともかく、結果的には良いものになったと思う。

室内の壁面の多くは木ルーバーで覆われており(写真#6〜10)、日よけや視線よけといった実用性ではなく、壁面装飾の手段としてルーバーが使われている。いかにも隈研吾っぽい表現ではあるが、ここまで埋め尽くされるとまるで巨大動物の体内に居るような印象で、気持ち良い空間とは言い難いような…。

呉市音戸市民センター
Ondo Civic Center

#1:正面。海沿いの立地で条件は申し分ない。

#2:本瓦ルーバー

#3:音戸大橋越しに撮る

#4:呉の造船所

#5

#6

#7

#8

#9:ホール棟1階のロビー空間

#10:ホールのホワイエ空間方向への見上げ
[参考文献・サイト]
1) 雑誌「新建築」2008年3月号

[行き方ガイド]
■バス1: JR呉駅から呉市営バスで音戸・倉橋方面行き(波多見経由)のバスに乗車し、「音戸市民センター」バス停で下車、徒歩1分。呉駅からのバスの所要時間は30分程度で、このルートが最短。
■バス2: JR呉駅から呉市営バスで見晴町方面行き又は鍋桟橋経由阿賀方面行きのバスに乗車。「音戸渡船口」バス停で下車。そこから音戸渡船で対岸に渡り、さらに徒歩20分ほどで着く。呉駅から音戸渡船口までの所要時間は20分程度。かなり歩く必要があるが、倉橋方面のバスがない場合はこちらの方法でも行ける。
作成:2008/5/10 最終更新:2009/8/18 作成者:makoto/arch-hiroshima 使用カメラ:NikonD70, NikonD90 使用レンズ:Tokina AT-X 124 PRO DX 12-24mm F4
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