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5原則が完璧なまでに表現された教科書的な作品 |
本作は、資産家であったサヴォア夫妻が週末を過ごす別荘として、パリ郊外のポワジーに計画された。敷地が広く制約条件がほとんど無いためか、ル・コルビュジェの提唱する5原則(水平連続窓、ピロティ、屋上庭園、自由な平面、自由な立面)が完璧に表現できている。訪問した印象としては、5原則を表現する教科書として本作がある、すなわち5原則が手段から目的に変わっているように思えた。 門を抜けて小道を歩くと草原に本作が出現する…。が、そこで見る面は正面玄関とは真逆。自動車のアクセス動線を優先した結果だろうし、機能が平面計画を決定する「住むための機械」の表現だろうと思うけども、それにしてもファサード(玄関のある面を仮にそう呼ぶ)が後ろを向いているのはやはり違和感が残る。 |
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サヴォア邸 Villa Savoye |
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#1:草原に囲まれた恵まれた立地。ファサードと言える面(#2)は裏側にある。普通に考えると不自然な配置。 |
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#2:ファサードと言える面。5原則がよく分かる。敷地の端にあるので撮影しようにも十分な”引き”が取れず、18mmレンズでギリギリ撮れた。自動車はピロティをぐるっと回ってこの正面玄関に横付けされる。 |
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#11:階段とスロープがこのように並んで配置されている。スロープは一度屋外に出て、折り返し屋上へと続く。 |
住宅としての中心は2階にあるので、縦動線が多用される。本作ではスロープと階段が用意され、両者が並んで屋上まで続いている。(写真#4〜7) スロープ(勾配の数字は調べてません)は自分の感覚としてはかなり急であるが、視覚的な美しさではこのくらいがちょうど良いのだろう。 |
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#12:中心となるリビングルーム。開口部側には梁がなく、大きなガラス戸もあって開放的。日本の建物を見慣れていると、このシャープな造形はとてもRCには見えない。 |
組積造(レンガや石を積み上げる形式)で必要だった「壁」という制約がRC造によって少なくなり、室内は大きな窓のある自由で開放的な空間となっている。こういった白くシンプルでシャープな造形は普遍的、いや人類史上の必然といってもいいデザインだと思う。 その他にも、浴室や屋上庭園、ドアノブから窓枠に至るまで、見どころは非常に多い。パリからは少し距離があるが、ぜひとも訪問したいスポットといえる。 |
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フランス INDEX | ||||||||||||||||||||||
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