後山山荘

藤井厚二(改修 前田圭介 2013)

鞆の浦の高台に建つ住宅建築。建築家 藤井厚二が兄の与一右衛門のために昭和初期に建てた別荘であり、かの「聴竹居」とも共通する要素が織り込まれた名品であったが、空家となり廃屋同然となってしまう。相談を受けた前田の提案で残存箇所を修復しながら再生を図ることになり、新旧が絶妙に融合した建築作品となった。なお、本作は個人住宅をオーナーの好意により見学できる状態とされており、見学は特定の日に予約した上で行うことになる。
訪問してみて最も印象深かったのは鞆港を一望できるすばらしい眺望と、それを巧みに切り取るデザイン。聴竹居と同じとも言われるサンルームは居心地の良い空間に仕上がっているし、追加された箇所もディテールに隙がない。鞆を訪問するなら、ぜひ予約したうえでここまで足を伸ばしてみて欲しい。本作にはそれだけの価値がある。
内観写真はここには掲載しないが公式サイトで見ることができる。