新勝禅寺

中村昌生(茶室)藤森照信(寺務所)ほか 1960年代~

沼隈半島の内陸部に建つ寺院。常石造船の社長を務めた神原秀夫が建立した臨済宗の禅寺である。県内有数の巨大な敷地に多くの堂塔が並び、国際禅道場や茶室を持つ大伽藍となっている。装飾性の高いハデな耕三寺と比べると地味に見えるが、個々の建築の質は高く、じっくりと鑑賞したくなる作品が揃っている。
現時点では各建物の詳細を調べているところなので、ここでは写真中心に掲載する。

総門と寺務所

敷地の入口にある総門(写真#1)は1967年に京都から移築したもので、もとは京都御所内にあったという。門をくぐるとまず目に付くのが藤森照信による寺務所だ(写真#2-4)。岩山の松の古木をイメージしたといい、手曲げ銅板(ワークショップで手作りしたもの)で葺いた屋根の上に松が植えられている。

茶室 秀路軒

敷地の奥の方に行くと、秀路軒・一来亭・玄庵といった茶室があるが、ここでは秀路軒を紹介する。本作は表千家の残月亭と不審菴を中村昌生の設計により再現したものである。オリジナルは1788年に焼失しており、古図等からできるだけ忠実な再現がなされているという。私自身は茶道は全くの素人だが、シンプルな造形でモダンの香りすら漂わせつつ、緊張感を与えられた空間は、思わず長居したくなる独特の魅力を放っている。

そのほか

敷地内の施設は数が多く、全て見るにはかなりの時間がかかる。ここではごく一部のみ紹介する。