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窪田勝文 1998

わずかに古い街並みを残す可部の街道筋を横断する形で広幅員道路が建設され、その道路と旧街道の交差点に建つ商業建築。コーナー部には小さいながらも広場を設けてあり、公共施設?と勘違いしてしまうほど高い公共性を感じる空間となっている。

(前略)- 敷地は大きな交差点に面し、3方を道路に囲まれた東西に細長い形状をしており、新しく作られた道路に沿って透明なガラスチューブを配置した。そして隣地側には様々な仕掛けを組み込んだ庭を設けて、ショップや地域のイベントに活用し、人の集いを誘発しようと試みた。この「場」は、旧道に沿って連なる歴史の流れと、新たな道路に広がる未来とのクロスポイントとして位置づけられ、過去から未来へとつながる「建築」になりえるか否かが、今回の最大のテーマでした。
(窪田建築アトリエのサイトより引用)

ガラスという素材は中性的で透過性があるため、国の内外を問わず歴史的街区内の新築でよく使われる。確かに町家のレプリカを建てることで街並みを形成する選択もあったわけだが、それでは商業として目立たないし、街に新風を吹き込めないし、そもそも可部の街並みは観光客を呼べるレベルではないから安直なメタファーは現実的でない…との判断も間違いとは言えない。デザインモチーフをどこに求めるかは議論の分かれるところだ。