まるみデパート/旧M医院

不詳 1918年

銀山街道の宿場として栄えた御調(みつぎ)の街道筋に残る洋館。医院は(西洋医学自体が舶来モノという意識からか)洋風デザインを採用することが多い。本作の場合、建築時期が古いためか、プリミティブな”洋館らしい”姿をしている。
構造は木造だが外観は左官仕事で石造りのように見せ、様式建築らしく雷紋も付いている。縦長窓に付く窓枠は上げ下げ式で、よく見ると窓枠の上部にはペディメントが付く。軒裏を板張りにするのも洋館の作法で、本作でも丁寧につくられている。一方で側面は(隣地に家が建っていたためか)擬石とはなっていない。
本作はしばらく空き家となった後に修復工事がなされ、2012年に店舗として再オープンした。室内も丁寧に直されており、医院時代のものもうまくアレンジされている。周辺も数軒ながら往時の面影を感じさせる古建築が連なっており、御調エリアを訪れる際にはぜひ立ち寄ることをおすすめしたい。