安芸太田町役場加計支所/旧加計町役場

不詳

加計(かけ)の中心部に建つ庁舎。旧加計町役場で、今は加計支所の西館となっており、ほとんど使われていないようだ。
本作は、1950~60年代に全国各地に建てられた「民主主義の表現」としての庁舎建築の一つと思われ、ル・コルビュジェの影響を直接的に感じさせる意匠(ピロティやブリーズ・ソレイユは分かりやすい要素)を用いながら 見ごたえのある建築作品に仕上げられている。丹下健三が香川県庁舎で作り上げたスタイルのような和風のデザイン要素はほぼ感じられず、プリミティブなモダニズムに近いスタンスといえよう。
窓はおそらくオリジナルのスチールサッシで、上げ下げ式も見られる。石貼りの壁もグッとくるものがある。
本作については偶然見つけたもので、建築関係の書籍でも紹介されていない。まさに「良品なのに評価されない」モダニズム建築の典型例だ。もう少し時が経てば文化財になってもいいくらいの水準にあり、もっと有名になるべき建築といえる。