岩惣

不詳 1892

#1:渓流とコテージが調和する。

にぎわいから離れた宮島の奥座敷、紅葉谷(もみじだに)に建つ旅館。
創業者である岩国屋惣兵衛は1854年にこの地で事業を開始し、1892年には現在のフロントにあたる建物を新築した。開業以来内外の著名人が投宿しているほか、宮島みやげの定番である「もみじ饅頭」の開発に関わるなど、観光地宮島を代表する旅館である。

現代の目で見て驚くのは建築と公園が一体化していることだ。岩惣といえば”はなれ”が有名だが、このはなれは紅葉谷公園の渓谷内に点在している。公園と旅館の敷地境は見た目には分からず、宿泊客は公園の緑を存分に楽しむことができる。これをもし今やろうとすると、境界確定だの占用だの接道だの面倒なことになり、果ては境界杭を打ったりフェンスを立てたり、味気なく醜い空間になりかねない。