東広島市に移転する以前この地にあった広島大学のシンボル的な建物。
旧広島文理科大学は1929年に開学し、2年後の1931年に本館(この建物)が竣工、さらに1933年にはコの字型だったものが増築されてヨの字になった。正面玄関周りでアールを描いているのは花崗岩を砕いてつくられた人造石で、外装にはスクラッチタイルが使われている。昭和初期のRC建築で好んで用いられたスタイルだ。
被爆時には全焼し外壁だけが残った。現在では躯体の老朽化が進み、タイルの剥離も多いため、閉鎖され立入禁止になっている。広島市が譲り受けて今後の利活用を検討するようだが、2015年時点ではただ建っているだけで利用されていない。空き家となることでRCの劣化も進むはずで、今後の行く末が懸念される。