平和塔/旧日清戦争凱旋碑

不詳 1896

宇品港(現在の広島港)から中心部に向かう旧道である御幸通り(みゆきどおり)沿いに建つ記念塔。
宇品には日清戦争時に帰還兵士を出迎えるための凱旋門(パリの凱旋門に似せたもの)が仮設され、戦争後の1896年にこの「日清戦争凱旋碑」が建設された。そして第2次大戦後の1947年に名前を「平和塔」に変更したらしい。

おそらく地元にもこの塔の存在はあまり知られていないだろう。だが、さっぱり平和には見えない勇ましい外観と「平和塔」という名前とのギャップは、違和感を感じさせると同時に、示唆にも富んでいる。「凱旋碑」の文字だけ消して「平和塔」と彫り直すことは、広島の戦後を象徴しているようにも思える。建造物自体は何も語りはしないが、いま目の前に存在するモノは包み隠せない事実そのものであり、時にもっとも雄弁に真相・本質を語ってくれる。

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