FLOAT

谷尻誠 2003

2016年1月時点では店舗閉店中のため、公開状況は不明です。敷地内に入れない可能性もあります。


広島市の北部丘陵地に広がる新興の戸建て住宅団地の一角にある飲食店+住宅。建築家谷尻誠の出世作として知られている。

敷地は高台の周縁部にあたり、斜面を挟んで上下に分割されている。確かにハウスメーカー製の住宅を建てるには都合が悪いが、逆に眺望は良く価格も割安というメリットがある。この条件に対して建築家が出した答えは、平地には手を着けず斜面上を利用するというものだった。上段の平面は駐車場とし、下段の平面は将来の増築に備えて残してある。
建物の構成はいたってシンプルだ。斜面に立てた6本の鉄骨にスラブをはめ込み、屋根を載せている。1階の店舗はガラスを使った軽快な造りで、テラスは空中に浮いた船のデッキをイメージさせる(船舶用照明も使われている)。眺望といってもスプロール市街地が広がっているだけではあるが、開放感はすばらしく、傾斜地に家を建てるということへの認識を新たにしてくれる建物だ。