契島の工場群

不詳

瀬戸内海にもいくつか軍艦島と呼ばれる島がある。文化財としての価値が高いのは四阪島であるが、この契島(ちぎりしま)の方が近寄りやすい。
契島は昭和鉱業が1935年頃から本格的な銅の精錬を開始、国策会社を経て1950年からは東邦亜鉛という会社が所有し、日本の鉛の4割がここで生産されているという。デザインする意図をもって作られた建物ではないが、煙突を頂点とする独特のフォルムが海に浮かんでいる風景は、遠景では非常に神秘的で、逆に近寄ると工場らしい無骨さが際立ち、いずれも見ごたえがある。また、現在の精錬所はは公害を出しているわけではないが、代表的な迷惑施設である精錬所が立地してきたという瀬戸内海地域の負の歴史を知る意味でも重要なスポットといえる。
なお、ここに掲載した写真はチャーター船から撮影したものであり、定期航路からはこのようには見えない。